DEGITAL LIFE

ビジネスやカルチャー等の最新情報を提供するサイト

仮想通貨最新情報

2017年7月14日、仮想通貨について日本経済新聞にて以下の記事が出ていましたので報告します。

  ビットコイン 近くバブル崩壊か 分裂騒動、岩村教授に聞く


 仮想通貨ビットコインを扱う世界の事業者間で分裂騒動が持ち上がり、にわかに仮想通貨の先行きに暗雲が広がっている。日銀出身で貨幣制度や仮想通貨に詳しい早稲田大学の岩村充教授に話を聞いた。岩村氏は「バブル崩壊への警戒が必要」と指摘した。
 
 ~ビットコインは紙幣や硬貨といった実物がなく、インターネット上でやり取りするお金だが、情報サイトのコインデスクによれば、ビットコインの価格は年初の1000ドル程度から6月には3000ドル台まで上昇しました。時価総額も155億ドルから最大で480億ドル(5兆4000億円)程度に増えるなど、個人を中心にブームが過熱しています。~
 
早稲田大学の岩村充教授
 「バブルの要素を否定できない。ビットコインの供給量は発案者が考え出したルールによって決まっている(現在は約10分ごとに12.5ビットコインが新規発行される)。供給ペースが硬直的だから、ビットコインを売買する参加者の人気が少しでも変化すると価格は大きく動く。現状の市場価格は『もうかる』という雰囲気だけで買い進まれた面が大きい。ビットコインを新しく作り出す(マイニング)ためには、大規模なコンピューター設備による計算処理が必要だが、いまの価格はそれにかかる電力費用などと比較して釣りあっていないと思う。」
 
 ~システムの更新を巡り、ビットコイン事業者間で争いが起きており、新たな枠組みのビットコインを8月1日に立ち上げると宣言する事業者が出てきました。~
 
早稲田大学の岩村充教授
 「ビットコインは分裂する可能性が高い。ただし、分裂自体は株式分割のように価値を分けるものであり、全体としてのビットコインの価値を下げるものではない。問題はビットコインの保有者の間で正しい理解が進んでいないことだ。一部の取引所は、分裂の前に取引を停止すると表明している。停止自体は賢い判断という面もあるが、理解が行き届いていないのが問題だ。そこに混乱が起きれば、ビットコインに投資していた個人などが慌てて売りに転じ、それでバブルがはじける可能性を甘く見ないほうが良い」
 
 ~バブルはビットコインだけに限りません。ビットコインに次いで時価総額2位のイーサリアムも高騰しています。~
 
早稲田大学の岩村充教授
 「イーサリアムが値上がりするのはマイニングという共通項があるため、納得できる面がある。ただ、リップル(XRP)などマイニングの仕組みを採用していないものまで値上がりするのは、単なる連想ゲームとしか思えない。『仮想通貨』という名前だけで買われているにすぎない」
 
 ~最近では、新規仮想通貨公開(ICO=Initial Coin Offering)と呼ばれる仮想通貨を活用した資金調達が一部の企業や個人の間で人気化しています。こうした現象をどうみますか。~
 
早稲田大学の岩村充教授
 「価値のよりどころがはっきりしないコインが多い。どんな企業か理解しないまま、値上がり益への期待だけで資金が集中しているケースが多く散見される」
 「ICOブームは、18世紀初頭のフランスの財政家ジョン・ローによる実態を伴わないペーパーマネーバブル、いわゆる『ミシシッピバブル』を連想させる。有名な17世紀のオランダのチューリップバブルはバブルが崩壊して、(チューリップの)球根は残ったが、ミシシッピバブルは一切、何も残らなかった。ICOそのものは詐欺とはいえないが、最終的に価値をほとんど喪失する可能性をはらんでいる。ICOをきっかけに仮想通貨全体の信認崩壊が起こることだけは避けてもらいたい」

(注)ICOとは企業が独自に発行した仮想通貨をネット上で個人など不特定多数に販売し、資金を調達する手法。海外のベンチャー企業では急速に広がっており、わずか数時間で1億ドル以上集めた案件もある。

日本経済新聞 電子版  2017年7月14日